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鳥海山〜大冒険の成れの果て〜

  • 執筆者の写真: junpei
    junpei
  • 2018年7月30日
  • 読了時間: 9分


家からはやっぱり遠い北アルプスや東北の山々。 行ってみたいとは思いつつ、スケジュールやアクセスを考えるとなかなか行けないのが実情。 しかし、今回は秋田に行かねばならない用事ができたため、行っちゃいました! 鳥海山!! 行こうと決めたはいいけれど、登るためには色々問題がありました。 まずレンタカーで登山口近くの宿に前乗りし、翌早朝登山口へ向かい、更に下山後は酒田まで運転…というペーパードライバーにはハードルの高い行程。そして在来線を乗継ぎ東京へその日のうちに戻ってくるというなかなかハードな山行になりそうです。 そもそも全く運転などしない私が車で出歩くこと自体がかなりリスキー。 しかし車の運転もさることながら、実は登山自体も色々不安が一杯! まずどのルートを取っても鳥海山はかなりのロングルート。推奨されている行程は 1泊2日が多く、日帰りは体力勝負のようです。 数あるルートから今回選択したのは、日本海側の一番北側にある鉾立登山口から入山するルート。一番人気の高いルートのようです。 車でのアクセスや、帰りの事を考えるとこのルートが一番ロスがないので選択しましたが、標準タイムでも9時間はかかる計算。道迷いや何かトラブルがあれば10時間は裕にかかるであろうと予想され、その日のうちに自宅に帰るには遅くとも14時には下山しないと間に合わない…。ということで、なるべく早い時間に登山を開始することにし、宿もコンビニが近く、出発時間も気兼ねしなくて済む本荘のホテルに決定。 まずは横手から1時間程のドライブで無事にホテルへ到着。翌日の準備を手早く済ませ、21時には就寝、翌朝2時に起床。そして3時に出発しました。 まだ真夜中で殆ど車も通っていない時間帯で多少不安ながらも順調に車を走らせ、4時には駐車場へ到着。誰もいないだろうと思っていたら、さすが百名山。そんな時間なのに登山客の姿が散見されました。身支度を整え、4時半にいよいよ出発です。 登山口からはいきなり石畳のような登山道がお出迎えです。しかも、このような整備された道がかなり続いており、さすが百名山等と感心しながらの歩行です。 海にほど近い鳥海山ですが、駐車場の標高は1,160m。車で走っている間に樹林帯は通り越したようで、登山道は始終開けています。 東北と言えば熊ということで、今回は熊鈴を持参していましたが、こんな開けた登山道に熊はいないな。と思い、消音にセット。 暫くして第一のポイント、賽の河原付近に差し掛かると、いよいよ雪渓が現れ始めました。 今回のルート上には雪渓歩きが含まれており、雪の状態によってはアイゼンがいるかもしれないと万全を期して6本爪を準備していました。実際に歩くことになるであろう千蛇谷の雪渓ですが、鳥海山の最新情報が少なく、どんな感じなのかさっぱりわかりません。 とりあえず実際を見てみないことにはなんとも言えない状況。 懸念しつつ先へと進みます。お天気は最高で、日本海もきれいに見えています。 更ににお花の種類の多いこと!!次々現れる可愛い花を愛でながらゆるゆると登っていくと、御浜小屋へ到着しました。ここまでは、ハイキングでも来れそうな道のりでした。 小屋の脇を通り過ぎると、眼前には美しい鳥海湖が見えていました。鳥海湖と日本海、そしてお花畑をお供に、相変わらず続く石畳状の登山道を歩きます。その行く手には聳え立つ鳥海山、そして下に目をやれば山形の街が見え、奥には月山。 景色の素晴らしさには非の打ち所がない程で、美しさに心奪われ、声もなく立ち尽くします。 やがて分岐を過ぎ、七五三掛辺りで私を追い越したおじさまに追い付きました。 フレンドリーなおじさまで、何となくお話ししながら一緒に登る感じになりました。私も、次にやって来る雪渓ポイントである千蛇谷のことが気になっていたので、おじさまに質問しながら歩いていくと、 外輪山と30分くらいしか変わらないから両方行ったら?というアドバイスで時間的にもまだ余裕がありそうだしどうせなら周回か!と心を決めました。 いよいよ千蛇谷と外輪山の分岐にやって来ました。そこでどちらにしようか迷いつつもおじさまと一緒に外輪山から進むことにしました。するとその分岐に座り込み スマホをいじっていた女の子が私達に「どっちの方がいいんでしょうか?」と聞いてきました。 どうやら地図は持っていないらしく、山と高原地図のアプリのみで登山に来ている様子。事前学習もないようで、こちらの問いにもあやふやな雰囲気。ビビリの私からすれば、これはかなり無謀な感じに思えましたが、世の中の人って案外そういう のんびりタイプの人が多いのかもしれません。 暫し3人でお話しつつ、なんとなくその子も外輪山に行こうと決めた様子で、期せずして3人の山旅が始まりました。聞けばおじさまは福島から、女の子は岩手から 来ているとの事。これ以上ないという天気で、3人とも喜びを分かち合い、暫し楽しい山旅となりました。気持ちの良い風に吹かれ、素晴らしい景色を堪能し、こうして見知らぬ人と交流する…。山旅の面白さです。 しかし、ちょっとのんびり外輪山を歩いてしまったので、若干時間が気になり始め ました。外輪山は七高山からも山頂へ続いていますが、私は七高山へは寄らず、御室小屋から目指すことにし、二人とは分岐でお別れしました。 この外輪山から一旦コルに下りる斜面が思いの外急峻で、鎖を頼りに下りないと相当危険な感じです。コルからは山頂である新山までずっと岩場。ここでストックを ザックにしまい、三点支持で攀じ上っていきます。山頂直下の胎内くぐりを終え、いよいよ新山(2,236m)山頂へ到着!!山頂はとても狭く、どんどん人がやってくる為、すぐに下山開始です。急峻な岩場を小屋まで下りて来た所で、昼食にします。この時間になると登山者の数はかなり多くなっていました。残されたミッションは千蛇谷を通って、雪渓をクリアするのみです。 お昼を食べ、ゆっくりする間もなくすぐに下山開始です。外輪山からも見えていた 通り、実際は雪渓の中を歩く訳ではなく、脇の斜面に付けられた登山道を進みます。先程通った外輪山を眺めつつ、雪渓の脇をどんどん進みます。涼しい風が吹いていた外輪山とは違い、全く無風の千蛇谷。更に陽が高くなり、かなりの暑さを感じます。やがて外輪山と千蛇谷の分岐が段々近づいて来て、これは、もしかすると雪渓を歩く事なく本道に戻るのか?と思われた矢先、大きな雪渓が現れ、そこにロープが。どうやら最後の最後でここを横切り、分岐へ戻るようです。雪渓に足を踏み入れてみると、そのままで十分歩ける雰囲気。ソロソロと足を進めます。雪渓の上はヒヤッとする空気が流れていて、自然の冷蔵庫のようです。そして陽に照らされてガスが発生しているのが見えました。そうか。雪渓上でガスが発生しやすいのはこういう原理なのか…。妙に納得し、雪渓を渡り切りました。あとは分岐までの道を登り返すだけです。しかし、登って行くと最後がものすごい急登で、はしご までかかっています。あれ?もしかしてこれは旧道かもしれない。と思いました。 実はネット情報で、旧道は危ないので新道を使った方が良いと書かれていたので、 間違わないよう気をつけていたつもりでした。 てっきりその道は新道だと思って歩いていたのですが、どうやら見落としたようです。致し方ないと尾根の上部まで必死に登って来た所で、分岐の先にある七五三掛 が見えました。今度は急な斜面を下りて行くと、木道に合流。ようやく本道へと戻ってきました。振り返って見ると、既に山頂は雲で覆われていました。数日前に 奇跡的なルートを辿ってブーメランのように去って行った台風のおかげで、東北地方はフェーン現象が起き、かなりの猛暑となっていました。そのせいもあるのか、昼近くになり気温が上昇して雲が発生したのかもしれません。やはり早起きは三文の得。一番良い時間に登頂したのかもしれません。 樹林帯が一切なく、何も遮る物がない灼熱地獄の中、最後の小ピークである扇子森を登り返しますがこの暑さで相当きつく感じました。ようやく御浜小屋へ到着し、あとはどんどん下るだけでしたが、往路では整備されていると感心すらしていたこの石畳状の登山道が煩わしく、土の上を歩きたい!!という腹立たしい気持ちで一杯になりました。いつもより足裏が痛いのは、この堅い路面のせいでしょう。 でも、よくよく考えてみれば、約14kmものロングルートで累積標高差も1,300mはある鳥海山。疲れるのは当たり前!! 暑さもあって、だんだん歩くスピードが落ちていましたが、かなり終わりは見えて来ていました。すると、後ろから「追いついたねぇ」という声が。外輪山をご一緒したおじさまでした。「早いですねぇ。」とまた山頂の様子や雪渓のこと等話しながら下り、ついに駐車場へと帰ってきました。 おじさまとはそこで本当にサヨナラです。 時間は、予定よりかなり早いタイムで到着となりました。 あとは酒田へ車を返し、家に帰るのみです。 そしてナビを設定し、無事に酒田へ到着しました!! 駅に到着してみると、予定していた電車より1時間以上早い特急があと数分で発車するらしい。あわてて一番安い切符を買い、階段を駆け上り、滑り込みセーフで乗車できました。日本海を眺めながら新潟までの2時間を過ごし、新幹線へと乗り換え。全てが順調でした。 計画中は、私にとってはこの大冒険が果たして無事に成功するのか、甚だ疑問で、 相当不安に思っていましたが、結果は大大成功と言っても過言ではない…!! と、手放しで称賛されるべき山旅だったはずでした。 …が、しかし。 やはり、そそっかしい私は最後の最後にやらかしました。 今回横手から不要な荷物を送った際、なんと自宅の鍵まで一緒に送っていた事に、 自宅があと数mというところまで来て、気がついたのです…!! ヘトヘトになって帰り着いて、「げげーーーーっ!!マジか…!!!」と一気に崖から突き落とされたような心境になりました。 …仕方ない。 こうなったら開き直るしかありません。すぐさまネットで見つけたロックセンター へ電話。1時間のうちに急行してくれるとのこと。なんて有り難いサービスなんでしょうか。 他にフラフラする気力もなく、ドアにたまった新聞を階段に座ってゆっくりと広げ、のんびり待っていると、ちょうど小一時間経った頃、お兄さんがやってきました!! お兄さんと世間話をしながら、作業を見守りました。簡単に開くはずの鍵でしたが ドア内側にかけたリースのせいでおにいさんはかなり難儀しながらも、ついに10分程でめでたく解錠!!! かなり手痛い出費となりましたが、お金には換えられない有り難さでした。 大冒険の成れの果て。 やっぱり、私はどっか抜けているらしい。 しかし、山や車で大惨事にならなかったことを逆に感謝しつつ、今回の大冒険を締めくくりたいと思います!! 鳥海山、このことも含めて、忘れられない思い出になるだろうなぁ〜…(笑) 【今回の鳥海山登山記録】   行動時間 8時間24分(標準タイム 9時間7分)  ■山行タイム 約7時間33分 4:30 鉾立登山口 5:54〜6:03 御浜小屋  1’24(2’00) 6:15 御田ヶ原 12 6:41〜46 七五三掛 26【38】(1’00) 7:24  文殊岳 38  7:50  伏拝岳 26【1’04】(1’00) 8:56  鳥海山(新山)山頂(2,236m) 1’04(1’10)    9:17〜9:40  山頂小屋 19(20)   10:43〜10:48  七五三掛 1’03(1’20) 11:12  御田ヶ原分岐 24(20)   11:27〜36  御浜小屋 15 (30) 12:00 賽の河原 24(30) 12:54 鉾立登山口 54(1’00) ∴ 百名山記録 27/100   【丹沢山 奥白根山 筑波山 草津白根山 四阿山 浅間山    金峰山 瑞牆山 火打山 妙高山 大菩薩嶺 鳳凰三山    谷川岳  蓼科山  雲取山 八ヶ岳 常念岳 仙丈ヶ岳  甲斐駒ケ岳 赤城山 男体山 岩木山 富士山 美ヶ原 北岳 両神山  鳥海山】


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