毎年恒例になっている師匠との登山。今年もいつものようにNちゃんと3人で向 かう事になりました。去年雨で流れてしまった霧ヶ峰と共にもう一度快晴の分水 嶺トレイルを歩きたいとの想いが強く、去年と全く同じコースでの案を提案した 私。美ヶ原から宿泊予定の八島湿原までの道は然程の難しさはないとは言え、7 時間程はかかる行程で、去年は体調面で不安が残るとおっしゃっていた師匠が茶臼山までで山本小屋へ引き返し、車で八島山荘へ。そのおかげで二日間の行程はスムーズにいきましたが、今年は一緒に歩く予定でいたので、車は下山予定の八島山荘に置き、タクシーで山本小屋へ向かうという計画でした。 さて、前夜祭で睡眠不足気味ではありましたが、4時過ぎに師匠邸を出発し、八島湿原へ到着。待っていてくれたタクシーへ乗り込み、山本小屋へ向かいまが、急速に回復に向かうとの予報を覆すようなかなりの風雨。 しかも、思った以上に道のりが長い…。こんなに歩いたっけ!?とNちゃんと話しながら若干距離を気にしつつ、天候回復が見込まれない場合はもう一度タクシーを呼ばなければいけない事態に陥るかも!?と運転手さんと話しながら山本小屋に向かいました。 車を降りる際には、「帰り分の運賃はいらないからこのまま引き返しますか?」と何度も言ってくれた運転手さんでしたが、もしかして天気が回復するかもしれないと丁重にそのご好意を断り、小屋で暫くくつろいでいました。しかし、一向に回復の兆しはなく、更に悪天の一途。晴れればとりあえず和田峠までは時間的に歩けるだろうとは思っていましたが、そこからの足がありません。バス等足を必死に探してみましたが、どうやらたった数週間だけの季節運行だけだったようであとはタクシーに頼らざるを得ない状況でした。雨の勢いは更に増し、風もかなりの強さで吹いていたことから、これは危険だと判断しとりあえず登山は中止することに決定。 しかし、せっかくここまで来たのだし、せめて美ヶ原高原美術館だけでも行って帰ろうと、完全装備で美術館へ向かうことにしました。山本小屋から美術館まではおよそ20分の行程。霧に閉ざされた広大な草原を歩いて行きます。美術館方向に道を折れると、草原に点在する作品が霧の合間に見え始めました。やがて大きな鐘の音が草原に鳴り響きます。開館の鐘の音でした。 そんな幻想的な雰囲気の中、美術館へ到着。結局館内展示は数が少なく、殆どは屋外に設置されている作品が主だとのことで、この天候では楽しめない…。仕方なくタクシーを呼び、八島山荘へ戻る事に決めました。朝イチでお世話になった植松ハイヤーに電話すると、呼んで頂くのは有り難いですが、もっと松本方面のタクシーの方が近いからそっちで頼んだ方がいいんじゃないかとのこと。もしタクシーが見つからなければ、またこちらに電話して頂いても良いですよ。と、何ともご親切な対応。ということで、地元のタクシー会社に電話をかけると、すげなく断られ、やはり植松タクシーさんにお世話になるしかないかと話し合っていると、Nちゃんが宿に電話して迎えに来てもらえば!? と提案してくれました。確かに時間的には宿泊客を送り出し、なんとかなる時間帯ではありました。ダメもとで宿に電話をしてみると、なんとか行けるとのことで、しかも2,000円で送迎してくださるとのことでした。時間帯と人手があれば、いつもその料金で送迎してくれるようで、本当に「神様〜!!!」と手を合わせたくなるような幸運。コーヒーを飲みながら宿の方を待ち、無事に駐車場まで戻ってきました。 とんでもない半日になってしまいましたが、やはりこういう場所では交通機関を あてにしてはいけません。やはり車二台で動く等、何か対策が必要です。 夕食の時間までにはまだたっぷり時間があるため、まずは和田峠へ向かい、ゆっくりと温泉に浸かり、天気が回復してきた霧ヶ峰を眺め、登山道の予習をした後は宿でおいしい夕食を頂きました。翌日のこともあるので、宴会を早めに切り上げ就寝。 翌朝起きてみると、絶好の登山日和か!?と期待していたわりに、完全にガスっていて何も見えない状態。時期によっては年間半分以上霧が出るという霧ヶ峰。名前の如く霧が多いのは致し方ないことなのかもしれません。 湿原の西側から奥霧小屋の前を通り、トイレの前を通り過ぎた辺りでふと心配になり、 地図を確認。するとトイレを左手に行く方向が正解のよう。これはもしかするとゼブラ山を通る道と間違えたかも…。しかし、どちらを先に回るかということだけで、いずれにしても、両方を通る周回コースのため、「まあいいか。」となり、暫く歩いて行きました。 しかし、間違ったと思っていたコースは湿原に沿って東の淵の側を歩いている様子。 ゼブラ山と思しきピークも左手に見えています。「ん?合ってる…?」と独り言ちすると、師匠はゼブラに向かっていると言っていたので、やっぱりそうなのかなぁ。と思いながら進むと物見石へと到着。実は間違えていなかったようでした。Nちゃんと話していると、トイレの脇に、植生保護の為迂回路を通れという看板があったことを思い出し、正規ルートとは違う場所にルートが取られていたのかもしれないという結論に至りました。 相変わらず霧は晴れておらず、次なるピーク蝶々深山へ。車山乗越からは等高線の混んだ急登が始まります。しかもずっと階段で、自分のペースでは登る事ができず息が切れます。 鬼 の階段を登り切ると、車山(1,925m)へ到着。しかし、やはりまだまだ濃いガスは取れておらず、残念ながら全く眺望はありませんでした。暫し休憩の 後、今度は分岐を南の耳、北の耳方向へ周回します。この辺りから、急速にガスが取れていき、蓼科山の姿が現れ始めると、遠くに北アルプスの山々が雲の間か ら見え始めました。なだらかな稜線の草原歩きは本当に素晴らしく、やはり霧ヶ峰は良い山だと感慨深く景色を眺めます。最後のピークゼブラ山からは去年N ちゃんと歩いた美ヶ原から三峰山、そして鷲ヶ峰までの道が良く見渡せました。 登山というよりはハイキングという風情の霧ヶ峰。素晴らしい景色と共に無事終了です。 そして八島山荘でお昼を頂き、お世話になった山荘のおかみさんにご挨拶して師匠邸へと戻ってきました。あるもので作った夕食で打上げは続き、結局12時くらいでお開きとなりました。 翌朝は、深酒ももろともせず5時半頃目覚ましで起床し、ちゃちゃっと朝食を作り、「浅間隠山」へ向かいました。 師匠の嘘つき発言を真に受け、一度はスニーカーを履いた私でしたが、ぬかるんだ道で真っ白のスニーカーが汚れるのがイヤだったので、出発ギリギリに登山靴に履き替えたことが、後々大正解だったことは、最後の最後まで相変わらず師匠のアバウトさに半ばあきれつつ苦笑させられることになりました(笑) 簡 単ではありながら、晴れていれば360度の展望があるという200名山の浅間隠山でしたが、完全にガスの中で、ただのトレーニングとなってしまいました。 しかも、最後のぬかるんだ急斜面はストックなしでは小走りに下りて行くしか方法がなく、きゃっきゃ言いながらの下山でした。 登り1時間半、下り1時間の登山も無事下山完了で、今夏恒例の登山はこれにて終了となりました。 いつもながら快くお家を開放してくださった師匠、そしてNちゃん、ありがとうございました!! 【今回の霧ヶ峰登山記録】 行動時間 6時間18分(標準タイム 4時間40分) ■山行タイム 約4時間43分 6:15 八島湿原登山口 6:45〜6:52 奥霧小屋 30(30) 7:31〜7:38 物見石 39(40) 8:02〜8:08 蝶々深山 24(25) 8:31 車山乗越 23(25) 8:51〜9:08 車山(1,924.7m) 20(20) 9:25 車山乗越 12(15) 10:20〜10:29 南の耳 55(35) 10:41〜10:47 北の耳 12(15) 11:15〜11:52 ゼブラ山 27 (20) 12:33 八島湿原登山口 41(55) ∴ 百名山記録 28/100 【丹沢山 奥白根山 筑波山 草津白根山 四阿山 浅間山 金峰山 瑞牆山 火打山 妙高山 大菩薩嶺 鳳凰三山 谷川岳 蓼科山 雲取山 八ヶ岳 常念岳 仙丈ヶ岳 甲斐駒ケ岳 赤城山 男体山 岩木山 富士山 美ヶ原 北岳 両神山 鳥海山 霧ヶ峰】