病み上がり登山から1週間。未だ本調子ではない中ではあります
が、今回もNちゃんと山に行くことにしました。
選択したのは、安達太良山。
Nちゃんが福島へ出張へ行くと聞き、ならば!と決めたのには
大きな理由がありました。
本来であれば日帰り登山で十分な安達太良山ではありますが、
山頂から1時間程のところにあるくろがね小屋には、源泉掛け流
しの温泉があるというなかなか貴重な山小屋なのでした。
以前から、是非一度は泊まってみたいと思っていたこともあり
予定はかなり限定されてしま
う為、梅雨の真っ最中であるこの
時期に、最悪雨登山も覚悟しながらの計画となりました。
仕事を終え、一路福島へと直行。翌朝、登山にしてはかなり遅
い時間に出発できることをいいことに、居酒屋で飲みつつコー
スを考えます。
数あるコースの中から今回選んだのは、塩沢温泉という土湯か
ら少し南下した二本松スキー場から始まる沢伝いの登山道。
一番メジャーなのは、間違いなくさらに南下した岳温泉から始
まるコース。しかし、ロープウェイを使用するつもりがないこ
とや、いくつも滝がある方が楽しめるのではという安直な考え
から、塩沢コースを選んだ私達でした。
ただ、多少懸念されるのは連日の大雨での悪路は覚悟、また沢
の増水があるかも…?という点。しかし、小屋までなら2時間程
の行程。居酒屋で飲んでいるうちに、多少気も大きくなったの
か、いつもより事前調べが甘い状態ではありながら、まあ、な
んとかなるだろうという甘い考えでルートを決め、いい気分で
就寝となりました。
ホテルを7時に出発し、駐車場へ8時過ぎに到着。雲は多いなが
らも降雨の心配はなさそうで、まずまずの天気の中歩き始めと
なりました。
スキー場のリフトを左手に見つつ進むと、いよいよ登山道の始
まりです。しかし、のっけから酷くぬかるんだ道で先制パンチ
をくらいます。ズブズブと埋まる登山靴に悲鳴をあげつつ、転
倒に注意しながら慎重に進みます。
金剛清水という水場を過ぎた辺りから、だんだん道は沢を高巻
くように高度を上げて行きます。屏風岩を過ぎると、1/50,000
の地図に1カ所だけ記載されている危険マークと思しき箇所に到
着しました。
「来たよ〜!コワそうなポイント!」
そこは20m程の切れ落ちた岩場。足幅ほどの板きれが岩肌に沿
うように針金で吊るされており、手がかりに鎖が設置されてい
ます。雨で全てが湿っており、足場も不安定なことから、とに
かく慎重にトラバースしていきます。難なく危険ポイントをや
り過ごした頃、道は再び沢伝いに変わり、やっぱり沢伝いの道
っていいなぁ。等と余裕をかましていた頃、突然なんとも素朴
な丸木橋が登場しました。 ただ丸太を針金でくくり付けてある
だけのもので 手すりはなく、代わりに気休めに過ぎないトラ
ロープが張ってあり、ご多分に漏れず見るからに表面はツルッ
ツル。足を滑らせたら沢へ真っ逆さまという緊張感溢れる作り
になっています。塩沢コース、なかなかやるじゃん!と緊張を
半ば楽しみつつ慎重に渡ります。
天狗岩を過ぎると、次に現れたのは鎖場。ツルツルの岩場をこ
れまた慎重に進むと、ババーン!またも現れた丸木橋!今度は
手がかりはゼロ。またもツルツルの丸太を慎重に通過。すると
再び沢を徒渉。ここは金属製の橋だったので、難なく通過。荒
竜岩を越えると、またもや沢の徒渉!!おいおい、なかなか味
のある道じゃないか…!!またもや手がかりなしの丸木橋を渡
り、もうないだろうと思っていた頃に、またも最強の丸木橋が
出現。手がかりのトラロープはあるものの、あまりそれに頼る
のは危険なので、自らのバランスで慎重に歩を進め、無事に渡
りきりました。
Nちゃんもコワイと言いつつも、難なく通過し、いよいよくろ
がね小屋に到着しました。天気はかなり良くなってきていた為
時間もたっぷりあることから山頂を目指すことに決め、あわよ
くば荷物をデポできないものかと小屋番さんに声をかけました
が…、何となく荷物のことを切り出しにくい雰囲気だった為、
トイレだけをお借りしそのまま山頂へ向かいました。
連日の雨のせいなのか、登山道には水が流れていました。山頂
が近い為、道はほぼガレた状態。また、広い尾根になっている
ことからルートがどこなのか今ひとつわかりにくく、岩に書か
かれた目玉オヤジのような目印を頼りに登って行きます。そこ
ここにケルンも築かれていることから、この広い稜線はガスに
巻かれると道迷いの危険性があるなぁと感じました。やがて峰
の辻へと到着。ここから牛の背を経由し山頂へ向かいますが、
どうも道がはっきりしません。いつのまにやらルートを外れ、
目視で確認できる稜線上の道を頼りにザレ場を歩きます。本来
のルートからは大分ショートカットする形で牛の背上に戻ると
いよいよ目の前にまさに乳首の形の山頂が見えてきました。
近くに寄ると、かなり急傾斜の山頂となっており、随分登るな
ぁ…と思っていると、あっけなく山頂に到達してしまいました
。乳首の部分は岩場らしく、いきなり梯子がかかっていたりし
て、所謂「物好き」しか登らないようです。
当然、「物好き」なKさんとは違う私達、登る気はさらさらなく
風を避けて岩の裏側に陣取ってお昼を食べました。
雲は多いながらも、ちらほらと下界は見えたりしていて、雨に
降られる事もなく、本当にラッキー。
しかも広い山頂にはほんの僅かの登山者しかいませんでした。
百名山とは言え、平日の東北の山はいつもこんな感じなのか
もしれません。
さて、今回安直なルートで決めた塩沢コースですが、もし今夜
大雨が降ったとして、明日同じルートを通れるだろうかと心配
になってきました。しかし、もしも岳温泉側に下りるとなると
そのあとの足がありません。そういう諸々の事情も含め、とり
あえず小屋で話を聞こうと、早目に下山することにしました。
途中分岐を間違えて薬師岳方向に行ってしまったりしつつも、
なんとか峰の辻からくろがね小屋へと戻ってきました。しかし
この山、表示が極めて少ない。百名山にしては、ちょっと珍し
いように感じました。そこに持って来て、広い稜線。これは、
ガスが立ち込めると相当道迷いに気をつけないといけません。
やはり、標高が低いとなめてかかると手痛い目に遭いそうで
す。今回は、安達太良山ごときと、多少なめていた部分もあっ
たので、ちょっと反省。いくら簡単そうな山だとしても、山は
山。気を引き締めて行こうと肝に銘じました。
さて、小屋に無事戻ると、一人のおばさまがお風呂に入るご様
子。この温泉は、宿泊者以外も入れるということなので、お風
呂だけの登山者も案外多いのかもしれません。
さて、チェックインをしながら帰りのルートの話を小屋番のお
兄さんに聞いてみたところ、前日も同じコースを使った人がい
るけれど、危険だという話は来ていないし、そのコースで登っ
てこれたのなら全く問題ないとのお話で、一安心!
一番奥の部屋をあてがわれて荷物の整理をすると、私達も早速
お風呂へと直行です。先行していたおばさまは既にお風呂から
上がられて、岳温泉へと戻るとのこと。お疲れさまです。
さて、念願のくろがね小屋でのお風呂!!板張りの風情ある作
りで、お湯は白濁しています。まさに源泉掛け流し!!
窓を開けてみると、ほぼ露天の雰囲気で自然の中の秘湯さなが
らです。Nちゃんと二人でお風呂を完全に独占。さっぱりした
後は当然、ビールで乾杯。
プシュっと缶を開け、ゴクゴク…。…が。ムム…ぬるい…。
どうやら冷蔵庫はないようで、冷えてはいるがちょっと不発。
しかし、結局2本ずつ飲んで、静かな食堂でおじさまのいびきを
BGMに暫し語り合いました。
結局宿泊者は、ご夫婦とお友達のおじさまという3人組のグルー
プと私達だけで、こじんまりした夕食となりました。
名物のカレーを頂き、あとは消灯まで雑誌を読んだり、本を読
んだりしながら過ごし、早い時間に就寝。
いつもと違って時間に余裕があることから、5時半の朝ご飯を食
べてからゆっくり出かけるつもりでしたが、4時半ころからお隣
さんたちは起きてゴソゴソやっています。随分早いなぁ…と思
いながら時間までゴロゴロしていると、朝ご飯も食べずに早立
ちした様子で、朝ご飯は私達二人だけでした。
この人気のくろがね小屋も、老朽化が進み来年の3月をもって一
旦閉鎖、改築するとのことで、風情ある小屋に泊まる事ができ
たことは、本当に嬉しい限り。
しかも、ほぼ貸切り状態でなんとも贅沢な小屋泊となりまし
た。
懸念していた雨は降っておらず、カッパの着用もないまま歩け
そうで、これも本当にありがたいこと。
早立ちしたおじさまたちは、山頂へ向かったのでしょうか。
雨はないものの、濃いガスが立ちこめ、風もかなり強い様子。
これでは眺望は希めないし、稜線は相当強風が予想されます。
更にあの広い稜線を目玉オヤジだけを頼りに登るのが、なんと
も恐ろしい。道迷いすること請け合いです。
前日にしっかり山頂を踏んでいた事もあり、私達は、当然なが
ら山頂へは行かず、下山することを即決。
途中恐ろしい丸木橋を再び慎重に渡り、何事もなく下山するこ
とができました!
高湯で再び温泉に入り、福島駅で祝杯をあげ、帰路へ。
半分旅行気分で訪れた安達太良山。もっとラクチンだと油断し
ていたこともあり、まあまあ疲れましたが、楽しい山旅となり
ました♪
Nちゃん、今回も一緒にお付き合いくださりありがとうござい
ます。
また山に行きましょう!
【今回の安達太良山登山記録】
〈1日目〉
行動時間 5時間45分(4時間15分)
8:35 塩沢登山口
11:10〜11:22 くろがね小屋 2’35(2’10)
12:11 峰の辻 49(40)
12:40〜13:11 安達太良山(1699.9m)〈牛の背経由〉
39(35)
13:44 峰の辻 33(20 ) 道迷いでロス
14:20 くろがね小屋 36(30)
〈2日目〉
行動時間 2時間20分
6:22 くろがね小屋
8:14 塩沢登山口 2’20分(1’40)
∴ 百名山記録 31/100
【丹沢山 奥白根山 筑波山 草津白根山 四阿山 浅間山
金峰山 瑞牆山 火打山 妙高山 大菩薩嶺 鳳凰三山
谷川岳 蓼科山 雲取山 八ヶ岳 常念岳 仙丈ヶ岳
甲斐駒ケ岳 赤城山 男体山 岩木山 富士山 美ヶ原 北岳
両神山 鳥海山 霧ヶ峰 那須岳 至仏山 安達太良山】
Comments